記憶 ―黄昏の蝶―


アキラがカイトと打ち解けた理由が分かった気がした。
2人は似ている。

自分が「難しい」と判断した話は、すぐに理解を諦めてそれ以上は聞こうとしない。


「…年配者かぁ。多分うちのじぃちゃんが1番詳しいだろーなぁ。でもな~」

アキラは腕を組んで渋い顔。
干し肉は口にくわえたままだ。


「え?アキラ、じぃちゃん居るの?俺、会った事ある?」

「――ねぇな!じぃちゃんは崖側に住んでて、こっちには下りて来ないから!何でか、街の住民には絶対会いたがらないんだよなぁ~…」

「……それは…」

協会を嫌っているからだろう。

1番詳しいと言うアキラのお祖父さんは、俺にとっては1番会ってはいけない人なのかもしれない。
しかし…逃げてもいられない。


「……会えるか?」

「うーん、聞いてくるわ!リュウちゃんが『協会の光の子』って言っていい!?そしたら、多分会うと思うけど。」

「……そうか…。…頼む!」

ここまで来たんだ。
どうなろうと仕方ねぇ!

殺されやしねぇだろうし、
捕まっても何とかなるだろう。

それにアキラは信用出来る、嘘をつかない人間だと判断した。
最悪は、彼が取り計らってくれるだろう…、多分。

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