記憶 ―黄昏の蝶―
このカロリスの果てで、
隠された真実を聞きさえすれば、何とかなると思っていた。
その先を考えてはいなかった。
「…俺が、氷を割って人柱を逃がした。あの白い星が神かどうかは置いといて…。だから、あの星に引き寄せられてる…」
「……あぁ。」
「その話通りだったとして、…また天災が起こるかもしれねぇって事か?」
「……かもしれん。」
自分が責任を取る、
よく言えたもんだ…
話が大きすぎて、
出来る事が見つからない。
「――いつ、起こる…?」
「さぁて。今日かもしれんし、明日かもしれん…」
お祖父さんは、
静かに首を振るだけだった。
「…じいさん、何でそんなに落ち着いてられるんだ…」
「…運命じゃ。受け入れるしかあるまい…」
「――運命だと!?人が死に絶える運命を!ただ待つのか!!」
彼が悪い訳ではない。
分かっているのに、声を上げる事を抑えられはしなかった。
「…どうにも出来まい。それになぁ、人魚の数が減り、双子が多く産まれる世の中じゃ。何かしらの転機が訪れるのだと思っていたよ…」
昔は人魚が多く産まれていた。
長い時が経ち、現在ではその数は逆転していた。