記憶 ―黄昏の蝶―
瞳を開けると、
ただ朦朧としていた。
俺自身の妄想が見せた夢か。
これが本当に『星の声』だったのか…。
それを裏付けるかの様に、
古い図鑑で見た『蝶々』が、
ひらひらと…
俺の目の前を飛んでいた。
何故、この暗闇の中で気付いたのかと問われれば、その蝶々が白く光を帯びていたからで。
白い光となれば、
それは特別な何かなんだろうと、嫌だろうと分かった。
その蝶々は、
俺の体に吸い寄せられる様に近付くと、
俺の胸元で羽根を休め、
そして、
俺の中に溶け込んでいった。
俺の、
「体の中」に――…だ。