記憶 ―黄昏の蝶―
急がなきゃならない。
時間がない…。
これ以上…
俺たちの住むこの星が、
あの白い星に近付かない様に、
俺がやるべき事があった。
でも、
その前に…
もう少しだけ……
俺が帰る場所を、
見失ってしまう前に……。
今はビビの笑顔を求めて、
ただの1人の人間として、
一生懸命に泳いでいた。
この星には…
この世界には、
「蝶」は居ない。
ひらひらと、
自由に空を飛べる蝶は居ない。
しかし、
代わりに「人魚」である俺は、
水の中であれば、自由に泳ぎ回る事が出来た。
何故、
俺が「人魚」の体だったのか…
その意味を…、
今、理解した気がした。