記憶 ―黄昏の蝶―
「…リュウよ、体調が悪いと聞いていたが…、何やら違った様だな?話とは…?ジークでなく、その息子を連れて…。何事だ?」
本来は協会がらみの話ならここにジークを連れてくるところだが、俺がカイトを連れに選んだ理由に法皇は首を傾げていた。
「…あぁ。ビビが不調でね、子供たちの看病諸々を預けてきた。カイトは代理だ。」
それに…、
カイトには全てを話すと、
「約束」したしな…。
俺はこの2人には、
全てを話すつもりでいた。
「真実を知る者」が必要だった。
「…じじぃ。いや…、法皇様。これから話す事を信じて、この星の住民の為に協力して欲しい…」
「…今更改まって何だ…。もう『じじぃ』で良いわい…」
これから俺が話そうとする内容を予測出来るはずもなく、法皇は愉快そうに笑いを漏らしていた。
「…これから俺は、協会の幹部らしからぬ…、信仰を否定する内容を話す。でも、頼むから怒らずに最後まで聞いてくれ。」
相手は、法皇。
このカロリスで大昔から守られてきた、彼にとっては「由緒正しき道」。
いくら俺の信仰心が薄っぺらだと分かってはいても、いつもの様に話半分で愚痴っているのとは訳が違う。