記憶 ―黄昏の蝶―


俺の行動の断片を知っているカイトは、自分の頭の中で全てを繋げようと頑張っていた。


「…協会に残された昔の伝承に穴がある。それを調べにカロリスの果てに行ってきた。最初の異端者…初代法皇の末裔に会ったよ。そこで聞いたんだよ、『人柱』の真実を…」

「何だって…?崖に…?」

俺は順序をおって、
崖の洞窟でじぃさんに聞いた真実を話した。


緑豊かだった蝶々の舞う昔に、
突如現れたユピテル。

彼は白い星からやって来た、
星を渡る者。

彼が原因で起こった天災。
カロリスの起源。

カロリスに残った、人柱の氷。
それを封印した、
協会の地下の洞窟…


「…原因は、それなんだ。人柱の氷を、俺が先日割って…人柱を逃がした…」

「――しかし、氷から出たのは『蝶々の羽根』だけだったはずだろう!?人など居なかった。」

「残ったのは、だ。」

記憶を消された彼らには、
ユピテルの姿は欠片も無い。


「蝶の羽根を置いて…、実体のユピテルはすでに星を渡ってしまった。」

蝶々の羽根は、
もう自由となった彼には必要のない物だった。

だから置いていった。

俺だけに記憶を残して。

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