記憶 ―黄昏の蝶―
「……方法とは何だ…」
ごくりと…
2人が唾を飲む音がした。
あの「白い星」が何なのか。
それは、まだ分からない…。
しかし、
世界を変えてしまう強大な力を持っている事は確かで…、
『運命を紡ぐ者』である、
『人柱』を求めている。
「…あの星を鎮める為に、代わりの『人柱』を立てるんだ…。」
「………」
「…ちょ…ちょっと。このご時世に『人柱』だって!?そんな時代遅れな事…本気!?」
法皇が沈黙を守る中、そう怒り出したのはカイトだった。
カイトは馬鹿じゃない。
協会の信仰に染まりきらず、かといって完全に否定する訳でもない。
この街とカロリスの果てを行き来し、いつでも中立に「今の時代」を分かっている。
何にも「依存」しない。
その姿は自由に見え、
協会に縛られた後の俺には、時折彼が羨ましく思えた。
「…白い星に捧げる人柱か…。やはり、あの白い星には強大な力を持つ『神が住む』のだろうな…。何もないところからは信仰は生まれはせん…」
法皇はそう言った。
しかし、これまでとは違い、ただ白い星を崇めるだけの口調ではなくなっていた。