記憶 ―黄昏の蝶―
『ラディスの名を継ぐ者よ…』
『運命を紡ぐ者よ…』
協会本部地下の深い水の底。
白い星の光も届かない、
厚い洞窟の壁に覆われて。
その古い祭壇に、
誘われる様に身体を留めると…
何処からともなく、
身体は厚い「氷」に囚われた。
俺の身体は、
「自由」を失った。
『ラディスの名を継ぐ者よ…』
『運命を紡ぐ者よ…』
耳に届くのは、
姿は無き人の声…
ラディスの名…?
あぁ、前の人柱の名は確か…
『ユピテル・ラディス…』
『その者に代わり、世界の運命を紡ぐ者よ…』
あぁ、
代わりでも何でもしてやるよ。
だから「天変地異」とか「星を集める」とやらは勘弁してくれ。
これ以上、この星を動かさないでくれないか…。
皆の命を奪わないでくれ。
新しい命が、
もうすぐ生まれるんだよ。
『世界の運命を紡ぐ者よ…』
『…リュウ・ラディス…、そなたの存在で均衡は保たれる…星たちは元の姿に戻ろうぞ…』
そうしてくれ。
…で?
俺は何をすればいい?
…てゆうか、
あんたたち、誰?
『…我等は、そなたと同族…』
『されど別の任を受ける者…』
あの白い星の住民か?