記憶 ―黄昏の蝶―


『…俺は、「ラディス」の名を継ぐ者…。時計は、確かに受け継いだよ…』

『ラディス…僕と、同じ…?』

そう…
同じなんだよ…


『…俺は、時間も空間をも越える存在。人の「運命」を正す者。運命を紡ぐ者…。哀しい運命を背負う者…』


これから…
お前の代わりに…

哀しい運命の輪の中で、
人々の運命を紡ぐ者さ…。



街は、彼の前から消えた。

しかし、
俺は彼を見届ける為に、姿を変えてこの世界に留まった。

彼に、記憶を戻す。

そして彼は全てを知り、
泣き叫ぶだろう。


それから……


運命の輪が、廻るんだ。

その音は無くても、
目には見えなくても。

強い、強い力で。



俺は…

彼の「大仕事」に立ち合って、
1つの運命を、見届けた……。


これで、良かったんだ。
運命が繋がる。

孤児院のじぃさんや、
カロリスの果てに住むアキラや…

色んなところで、
運命は繋がっているんだ…


でもさ、

お節介な俺は、
またユピテルの前に現れちまうんだ。


< 216 / 238 >

この作品をシェア

pagetop