記憶 ―黄昏の蝶―
『…俺は、「ラディス」の名を継ぐ者…。時計は、確かに受け継いだよ…』
『ラディス…僕と、同じ…?』
そう…
同じなんだよ…
『…俺は、時間も空間をも越える存在。人の「運命」を正す者。運命を紡ぐ者…。哀しい運命を背負う者…』
これから…
お前の代わりに…
哀しい運命の輪の中で、
人々の運命を紡ぐ者さ…。
街は、彼の前から消えた。
しかし、
俺は彼を見届ける為に、姿を変えてこの世界に留まった。
彼に、記憶を戻す。
そして彼は全てを知り、
泣き叫ぶだろう。
それから……
運命の輪が、廻るんだ。
その音は無くても、
目には見えなくても。
強い、強い力で。
俺は…
彼の「大仕事」に立ち合って、
1つの運命を、見届けた……。
これで、良かったんだ。
運命が繋がる。
孤児院のじぃさんや、
カロリスの果てに住むアキラや…
色んなところで、
運命は繋がっているんだ…
でもさ、
お節介な俺は、
またユピテルの前に現れちまうんだ。