記憶 ―黄昏の蝶―
『…あぁあ…。ほら、言わんこっちゃねぇ。だから言ったろ?本当に知りたいのかって。』
『…陽の光が届かない、夜の世界か。光から逃げて、こんなに遠くまで来たのになぁ?自分の記憶まで失ったのになぁ?』
これは慰めになるのか、
未来の自分の姿を見ている様で、言葉を掛けずには居られなかった。
『…永遠という背負った哀しき運命から逃げた。そして、やっと消える事が叶う前に、またお前さんは「永遠」という形を選んだ。世界の運命を守る為…』
もう彼に「身体」は無い。
彼は新しい道を選んだ。
しかし、
それは決められていた運命。
『…大丈夫。運命は繋がったんだ。何も心配するな。後は俺に任せてくれよ、先輩…』
彼の声がした。
――有リ難ウ。
ソシテ、御免ナサイ。
僕ガ、逃ゲナケレバ…
貴方ガ、僕ト同ジ想イヲセズ済ンダノニ。
哀シイ運命ヲ、
背負ワズ二済ンダノニ…
『…いいんだ。これも、運命ってやつだろう…。俺は、運命を受け入れる為に生まれた…。じゃあな。寂しくなったら、また会いに来るよ、先輩…』
俺は大丈夫だよ。