記憶 ―黄昏の蝶―


とある世界。
ビルが建ち並ぶ「青い星」で…、

ある時、俺は…
「野球少年のチームメイト」だった。

『…海斗、お前は高校どこ行くの?ちょっと遠いけど、あそこの高校が野球に力入れてるらしいぜ?』

「――マジ?」

『バカのお前でも入れる学力だし、丁度いいんじゃない?』

「――…はぁっ!?」

…楽しかったよ。
ある少年と友達にさせる為に導いたんだが、一緒に広い地面で小さな球を追い掛けて…。



その灰色の空の世界で、
ある時、俺はただの「居合わせた客」だった。


『…綺麗な雨だなぁ?』

「綺麗ですけど、困っちゃいますよねー?急に降られちゃって…」

『…お嬢さん、こんな話を知ってるかい?突然に降り出した悪戯なお天気雨はなぁ、誰かの『涙』なんだよ…?』

すぐ横には、
俺の愛しい黒猫も居てさ。

空は夕暮れ時で橙色に染まっていて、カフェテラスの屋根の下で雨宿り。

そんな些細な何て事のない日常から、人々の運命が繋がる事だってある訳だ。


< 223 / 238 >

この作品をシェア

pagetop