記憶 ―黄昏の蝶―
自由奔放なカイトは、あまり子供たちの面倒は見ない。
子供たちの活動時間に居間に顔を出す事も少ないのだ。
珍しい事もあるもんだ…。
やっぱり、ミートパイの効果なんだろうか。
「…カイトはさておき、ヤキュウは楽しいぞ。レンたちも混ざっておいで?」
「うん!」
子供たちの背中を押し自分は一息ついて見守ろうと、居間の隅に追いやられたテーブルセットに目を向けた。
そこには、
黙々と何かに打ち込む女の子たちの姿が在った。
「…宿題か?ごめんなぁ。カイトが居て、いつもよりうるさいだろ…」
俺が近付きながら声を掛けると、数名から穏やかな笑顔が返ってくる。
「お父さん、おかえり!」
「うるさい男の子が一人増えただけだから…。慣れてるから平気だよ~!」
同年代とはいえ、男の子はいつまで経っても少年のまま。
女の子の方が早熟で、一足早く大人へと近付く。
返す言葉も見つからず、俺から思わず苦笑いが溢れた。
「…何?絵を書いてるのか?」
テーブルの上に広げられた4枚の絵画を見比べながら、俺は彼女たちの輪に混ざる。
「闇休みの学校の宿題!」
「…っていうと、あれか?」
「――夢の中の光景!」