記憶 ―黄昏の蝶―
知られてしまったんだ。
俺は、普通じゃない。
それが恥ずかしくて、
唇を噛み締めて下を向いた。
じぃさんとジークの会話を、俺は沈んだ気持ちのまま聞いていた。
「…前世が無い事なんてあるのか…!?真っ白な夢だって!?」
「…あぁ…。わしも話に聞いていただけじゃが…。この事は法皇には言わんでおいて貰いたい…。騒ぎになるじゃろ…」
やっぱり…
俺が普通じゃないからなんだ。
恥ずかしい事なんだ…
「…騒ぎ?それは…院長…」
「リュウが成人するまでは、他の子供たちと過ごさせてやりたいんじゃよ…。法皇に知れれば、協会に取り込まれてしまうじゃろう…」
……何…?
協会?法皇様?
父さんは、
何を言っているんだろう…。
「――騒ぎだって?協会に取り込まれる!?まさか…いや、あれは…協会の只の言い伝えなはずだろう!?」
「…リュウは、「光の子」じゃ…」
――…光の、子…?
言い付けを破りこっそりと盗み聞きをしている事も忘れ、俺はその扉を開けた。
2人も止める事はしなかった。
ギィ…と扉を開けると、
じぃさんもジークも瞳を見開き、そこに居た俺に驚きを隠せてはいなかった。
聞いてはいけない話だった。