記憶 ―黄昏の蝶―
「光の道」協会。
それが、
この世界を束ねる組織の名。
頂点には法皇。
その下には何人もの幹部。
その下にも幾つもの局があり、職員たちが働く。
白いケープを身に纏い、
一般の住民には白い衣服を着る事を禁じ、身分を分けていた。
第1条。
『人々は神の光を崇めよ』
そこから協会の取り決めた法律が始まる。
『神の住む尊き光の恩恵を受け、我ら子らはこの地に生きる』
『光の道協会は、子らと供に歩み、子らを光へと導く事を目的とする』
それは学校で嫌という程に繰り返しに習う、この世界の常識。
協会に従う事が当たり前で、まさか自分自身が協会に身を置くことになろうとは、夢にも思わなかった。
『世界は光と闇を繰り返す』
『闇の季節に子らが見る夢は、子ら自身の前世であり目を反らさず受け止めるべし』
夢を見る事が当たり前で、
前世が在る事が当然とされる世界で、俺にはそれが無い。
『幾つもの旅(前世)を繰り返し、子らは今、最も「光」に近い此の地に在るのである』
何度も強調されて出てくるのは、「光」という単語。