記憶 ―黄昏の蝶―


成人後に全てを理解した上で、俺が協会職員になる事を一番に反対したビビ。

ビビが孤児院に世話役として残ったのは、間違いなく俺を支えてくれる為だろう。

口先は適当なカイトもまた、何も考えていない様に見えて、俺を心配して孤児院を離れないのかもしれない。


「…明日は光祭りよ。大丈夫?リュウ。もう眠って?」

「……ここで寝る。」

俺はビビから離れると、ベッドの上にある布に潜り込み、その半分を占領した。


「…もぅ…仕方ないわね?おじぃちゃんに張れたら、また怒られるわよ?」

ビビは小さく溜め息をついて笑っていた。


明日は…
闇の季節、最後の日。

街の中心部の広場で、新しい光の季節を迎える為に毎年行われる「光祭り」。

あぁ…

また、この星に、
「光の季節」がやって来る…


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