記憶 ―黄昏の蝶―
ビビはいつだって俺の味方で、話を外部に漏らす事は無いと分かっているからだ。
俺は今日の協会での出来事を、全て聞いて貰った。
「……人柱…?」
「…かもしれないって話。明日、俺とジークで潜って調査だと!」
協会幹部の中にも人魚は何人か居るが、俺たち2人に白羽の矢が刺さってしまった訳だ。
「…人柱って、嘘か本当か分からない大昔の…あの話でしょ?」
「…らしいね。堅物のじじぃの頭の中では、ほぼ確定。まぁ、場所が協会本部の地下って事で、余計にだろうなぁ…」
ビビは話の展開についていけないという表情で、只でさえ大きな瞳を余計に大きくさせて固まっている。
「……何か、聞いちゃいけない事を聞いちゃった気がする…」
「はは、いつもの事だろ?」
俺はそう言って笑った。
「――…全くじゃなぁ…」
ビクッと肩を震わせて後ろを振り返ると、俺たちの背後に院長であるじぃさんが立っていた。
「「……ぁ。」」
「…ぁ。じゃないわい…。リュウは自分の立場が未だ解っとらんなぁ。何でもビビに話おって…。ビビが混乱するじゃろ…」
じぃさんも又、テーブルを回り込むと俺たちの向かいの席につく。