記憶 ―黄昏の蝶―


「…協会に伝えられた歴史は真だった…!あぁ、残念でなりません。老いぼれの瞳には貴方様のお姿をはっきりと映す事が出来ません故に…」

法皇はブツブツと唱え出した。

これはいつまで続くんだろう。
いつまで俺は付き合わされるんだろう。

…もう帰っていいか?俺。


「法皇様、私は他の仕事もこざいます故に、失礼しても宜しいでしょうか。」

「――何を申すか!リュウ!お前は唯一、ユピテル様の御言葉を我らに伝えられる者だと言うに!何の為の光の子だ!」

「……はぁ」

あ。
やっぱ、怒られた。
何の為のって言われてもねぇ…


「ユピテル様、部屋をご用意します故に、この協会本部にお留まり下さいませ。何なりとこの者、リュウにお申し付け下さい。」

……は?
ちょっと待て。
まさか、俺まで泊まり込み!?

しかしユピテルとやらは、更に状況が混乱するだろう事を言い出した。


『御厚意は有り難いのですが、僕はこの協会とやらが何かも存じません。このリュウ君の孤児院とやらにお邪魔してはいけませんか?』

「――はぁっ!?」

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