記憶 ―黄昏の蝶―
俺が失笑気味にそう言うと、流石のじぃさんもポカンと口を開けた。
「……どういう…」
「――院長、失礼しますよ~?」
俺から遅れて、
扉から現れたのはジーク。
「…ジーク?」
「ジークは、じじぃが俺たちに付けたお目付け役だよ。…で、」
ジークの後ろから現れた青年。
この時代の建物に興味を示してか、終始キョロキョロしているのが…
「…元、氷漬けの人柱様。じじぃ曰く、光から遣わされた神の使者、ユピテル…様だと。」
「――…何…?」
2人は呆然と彼を見ていた。
神聖な者を崇めて見つめるでもなく、どちらかと言えば俺と同じで珍獣を見るかの様で、俺は2人の反応に安心した。
『…あ、お世話になります。…あぁ、おじぃさん!お久し振りです!会いたかった!』
――はっ?
彼はじぃさんの顔を見ると、そう興奮してじぃさんの元に駆け寄り、握手を求めた。
じぃさんは訳も分からずに握手を返している。
「…じぃさん、コイツが『久し振り、会いたかった』って言ってるけど…。知り合い?…な訳ないよな?」
「…さて、わしは分からんのぅ。人違いじゃろ…。もしくは、わしと顔がよく似た祖先と間違えているのかのぅ?」