初めての恋に溺れる人魚~my first love~

〝ここ”と言って月島先輩が見るのは、商店街を抜けて次の通りにある、築年数の古そうな雑居ビル。

日当たりの悪い場所にあって、何だか暗い雰囲気が漂ってる。

お店が何軒か入っているみたいだけど―…見た感じ、人の出入りは無い。


「入るぞ」


月島先輩はまた私を引っ張って、ビルの中に。

エレベーターを使わずに階段で昇っていく。

やっぱり買い物……?食事……?いや、それとも―…

どんどん変な方向に想像が膨らんでいく。

そして―…二階奥の扉の前で足が止まる。お店の名前は……何も書いていない。

何も言わずに、扉を開ける月島先輩。

扉の向こうは意外と広い空間が広がっていて、左側にはカウンター、右側にはテーブルやイスが乱雑に積み上げられている。

ここは一体、どういう場所なんだろう……

飲食店……?

それにしても、真っ暗―…

そう真っ暗……!!

どうしてこんな場所に連れて来られたの……??

そう不安たっぷりに思っていると、


「-…っ!」


パッと辺りが明るくなった。


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