初めての恋に溺れる人魚~my first love~
でも、そろそろ状況を説明してほしい。
「あ、あの……っ」
マイクを持ったまま、そう言うと、
「あ~海音ちゃん、ごめんね。訳わかんないよね。実は俺達さ、」
と、芹沢先輩がやっと説明してくれそうな雰囲気に。
「俺達さ、三人でバンド組んでるんだ。まァ、バンドって言っても、ホント趣味程度なんだけどね。今まで俺がヴォーカル兼ギターしてたんだけど、しっくりこねぇって、コイツらがさ~」
「バ、バンド……」
そう言えば、と思う。小谷さん達がそんなコトを言っていた気がする。
「で、響がキミを見つけてきて、ヴォーカルにどうかってさ」
今度は小栗先輩が、月島先輩を親指でクイッとさしながら言う。
ヴォーカル……
バンドの……
私がヴォーカル……!?
ハッとする私。
「と、とんでもないですっ!私が歌うヒト、だなんてとんでもないっ……!!」
慌てて首を振って、〝とんでもない!”を繰り返してしまう。