初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「ま、そんな深く考えないでよ。俺らも、お遊び趣味程度でやってるし~…取り合えず、来月の対バンにだけ付き合ってくれたらオッケーだから」
「対バン……?」
「色んなバンドと仲良くライブしましょうってやつ?実は、俺達の先輩がライブハウスを開くことになってるんだけど、そのオープニングイベント的なもので〝お前らも参加しろ”的な?強制参加的なノリでね」
「は、はぁ……」
でも、わざわざ私みたいな地味な人間がヴォーカルをするよりも、絶対芹沢先輩がしたほうが華があるに決まってる。
「せ、芹沢先輩がこのまま歌うのじゃ……ダメ……なんですか?」
おそるおそる訊ねると、
「ダメ。俺達だけのお遊びで歌う分は構わないけど、人前ではアウト。現に今回の事もヴォーカルは陽以外で、と頼まれた」
そう小栗先輩が却下する。
「いや~俺的にはオッケーなんだけどね、こんな感じで何か周りがさ、ダメだって」
すねた口調で芹沢先輩。
そんなに却下されるって、芹沢先輩の歌声って余程のものなのかな……とちょっと思って見たり。