初めての恋に溺れる人魚~my first love~

「見栄えは何とかなるって~女のコは必ず磨けば光るさぁ」


「ひ、光ません……!それに唄……歌える自信なんて全然……っ」


「大丈夫大丈夫。海音ちゃん、歌上手いんだからさ、あとは度胸だけちょっとつければオッケーオッケー」


「そんなぁ~…」


この私が度胸をちょっとつけた位でステージになんて立てる筈ない。


「一か月もあれば何とかなる何とかなる」


「む、む、無理です……っ」


「無理な事なんてないない!」


「ありますよぉ~…」


芹沢先輩ってば、かなり楽観的。

一か月位で何とかなるワケない。

何時もは押しに弱くて断れない性格の私だけど、この件はやっぱり引けない。

引いちゃいけない。そう思っていると、


「まぁまぁ浜崎さん。オープニングイベントって言っても二、三曲歌うだけだし、ライブっていっても先輩のよしみで出るだけでプロ目指すとか、そんなんじゃないからさ」


私と芹沢先輩のやりとりを見ていた小栗先輩が、何が何でも拒否する姿勢の私を宥める様に言う。


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