初めての恋に溺れる人魚~my first love~

それでもやっぱり私は……


「無理です……でき……出来ません……」


やだ、また涙が出そう。

私が声を微かに震わせて訴えた時だった。


「確かに、いきなりステージに立って歌えっていうのは無謀だよな」


黙っていた月島先輩が静かに口を開いた。


「人前に出るのは苦手、ってヤツもいるしな」


そう。まさに私がそれ……

こんな私に頼んでも上手く行かないって思う。


でも、


「けど俺、お前の声を聞いて純粋に綺麗で魅力のある声だなって思ったからさ」


「-…」


「ほぼ遊びのバンドだけど、せっかく招待してくれてんだから良いステージにしたいし、お前をヴォーカルにしてやってみたら面白いだろうなって思うんだけど」


静かに低い声で私に話しをしてくれる月島先輩。

〝綺麗”

〝魅力”

そんな言葉にドキッとしてしまう私がいる。


< 132 / 421 >

この作品をシェア

pagetop