初めての恋に溺れる人魚~my first love~
少し進んだところに、人が座れる程大きな岩がある。
満潮になってもギリギリ浸からない場所。
その岩にぽつりと座って、ぼーっと海を眺めている時が一番落ち着く。
どうしてかな。
やっぱり名前に海がついているからかな、なんて、思ってもみるけど、
〝海音”
って名前。私にはキレイすぎる。名前負けも良いところ。
でも、今はそれよりも―…
「だいたい……これって本物の真珠なの?」
露天商のおばさんから渋々買わされた、真珠が入ったガラスの小瓶を手に持って見つめる。
人魚の涙が触れた貝で出来た真珠、って言うのは絶対に有り得ないだろうけど、本物の真珠って訳でもなさそう。だって本物の真珠が七粒1980円っていうのは安すぎる。
「やっぱり騙されたかぁ~」
騙された……というか何というか……良いカモにされてしまった感じ。