初めての恋に溺れる人魚~my first love~

「今日の放課後、音楽室な」


「音楽室-…ですか?」


つい、きょとんとした声で返してしまう。


「練習。時間ないから」


〝練習”という言葉に私もハッとして、


「あっ……わかりましたっ!」


と、背筋をピンと伸ばして返事をした。


「じゃ、放課後な」


私に背を向けて、タンタンと靴音を鳴らして屋上へと上がって行く月島先輩を見つめる。

近くで見る月島先輩の黒いビー玉みたいな綺麗な瞳。

鋭くて、ちょっとコワイけど、やっぱり見とれてしまう。

〝俺の女”

って言われた時、小谷さん達から私を助ける為の、その場しのぎの言葉って理解しつつも、やっぱり気分が良かった。


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