初めての恋に溺れる人魚~my first love~
一時間目の授業は、もう始まってる。
今さら教室に戻る気分になれない。
しかも、私の後ろの席は小谷さんだ。
さぼってしまおうか、なんて思ってしまう。
今日は天気も良いし二時間目が始まるまでなら、少し学校を抜け出して―…
「抜け出して―…」
行きたい場所は、もう既に決まってる。
場所というよりも、目的かもしれない。
せっかく遅刻しないようにダッシュで登校したのに、一時間目からサボっちゃうなんて意味ないけど、だけど、どんどん湧き上がってくる欲張りな想いを止められない。
今、考えていることはたった一つ。
それだけを想って、懸命に私は走ってる。
目指す場所は学校から一番近い海。
「つい……た……」
その蒼い海を見た時、私の頭の中にあったのは五つ目の願い事だけ。