初めての恋に溺れる人魚~my first love~
高校生ともなると、周りの女子は彼氏がいてクラスでもよく恋の話をしている。
聞くつもりなんてないんだけど、自然とそんな話が耳に入ってくると、やっぱり少し。少しは羨ましく思う。
ただ羨ましく思ったって、やっぱり恋愛できるような立場の女の子じゃないってこと……
何だか……気分がもっと重くなる。せっかくここにきて少し軽くなったのに、逆戻り。
変なおばさんに声はかけられるし。
あやしい商品を買わされるし。
やっぱり私ってダメだなぁ……
ダメダメって思ってたら、もっとダメな気持ちになるから気分転換しなきゃ。
そう思った私は黒縁眼鏡を外して、一つ、大きく深呼吸をしてスーッと息を吸う。
唄。
波の音をバッグミュージックにして、私は唄を口ずさむ。