初めての恋に溺れる人魚~my first love~
夢じゃない。
夢じゃないよね?
何度も心の中で繰り返してしまう。
嬉しさを噛みしめながら歩いていると、
「お前遅いって」
と、先輩が私の右手を握る。
月島先輩の手は大きくて、冷たいんだけど温かさが伝わって来る。
足の歩幅が違うから、最初は着いて行くのに必死だったけど、途中からペースが遅くなって先輩が私の歩幅に合わせてくれてるんだってわかる。
こんな風に男の人と街を歩いたのって生まれて初めて。
手を繋いでいる相手が月島先輩だなんて幸せすぎるよ。
「家、どこ?送ってく」
「あ……大丈夫です。ちゃんと帰れます」
本当は嬉しいのに、遠慮してしまうのは私のわるい癖かな。
でも、
「ばか。お前、ひとりにすると危なっかしいんだよ」
そう言われて、私は月島先輩の左手を握り続けた。