初めての恋に溺れる人魚~my first love~
部屋に入ると自分から案内したくせに、緊張で手と足が一緒に出てしまう。
「わたしは、ですね……父と二人暮らしなんですけど、仕事で何時も遅いんで―…ゆっくり……ど、どうぞ……」
嫌だ、もぉ。言葉も本格的におかしくなってきた。
キッチンで淹れてきたお茶を、カチコチな動きをしながら月島先輩に差し出す。
「―…っ、ははっ」
いきなり吹き出す様に笑う月島先輩。
「お茶って、本当に緑茶を淹れてくるのが流石だな」
「りょ、緑茶、ダメでしたかっ……?」
「いいや。好き」
そう言うと、私の淹れた緑茶に口をつけてくれた。
〝好き”
私に言われた訳じゃないのに、ドキッとしてしまう。