初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「いえ、そんなわけでは―…」
「じゃあ、さっさと帰ったほうがいいな」
「違うんです!帰って欲しくない―…!」
そう自分で言ってしまった後、私ったら、まだ大胆な事を……!と慌てる。
「でもっ、ごめんなさい……!やっぱり外まで送ります……!」
ごめんなさい先輩、変な事を言ってしまって……!そんな気持ちで立ち上がって、月島先輩を送ろうとした。
部屋のドアを開けて、外へ。
そう思ったけど、
「―…っ」
パタンと今、開いたドアが閉められてしまう。
次の瞬間、ぎゅっと後ろから抱きしめられて、優しい海の匂いが香る。
すっぽりと収まってしまった私の身体―…
「海音―…」
低い声で名前を呼ばれる。
今、〝海音”って言ってくれた―…何時もは〝お前”なのに。