初めての恋に溺れる人魚~my first love~

「いえ、そんなわけでは―…」


「じゃあ、さっさと帰ったほうがいいな」


「違うんです!帰って欲しくない―…!」


そう自分で言ってしまった後、私ったら、まだ大胆な事を……!と慌てる。


「でもっ、ごめんなさい……!やっぱり外まで送ります……!」


ごめんなさい先輩、変な事を言ってしまって……!そんな気持ちで立ち上がって、月島先輩を送ろうとした。

部屋のドアを開けて、外へ。

そう思ったけど、


「―…っ」


パタンと今、開いたドアが閉められてしまう。

次の瞬間、ぎゅっと後ろから抱きしめられて、優しい海の匂いが香る。

すっぽりと収まってしまった私の身体―…


「海音―…」


低い声で名前を呼ばれる。

今、〝海音”って言ってくれた―…何時もは〝お前”なのに。


< 268 / 421 >

この作品をシェア

pagetop