初めての恋に溺れる人魚~my first love~

考えれば考える程、グルグルと不安の渦に飲み込まれていく気がしてしまう。

小谷さん達の嫌味も担任の声も―…ボーっと聞き流してしまう。


そして、


「海音ちゃん」


私を呼び止める声にハッとする。

ホームルームを終えた私は、今日の一時間目の英語をLL教室で行うという事で移動途中だったんだ。

そんな風に思ってしまった程、上の空状態なんだって感じる。


「どうしたの?何か考え事?」


振り返ると小栗先輩が立っていた。そう言えば、同じ時間帯に芹沢先輩にも呼び止められたんだっけ……


「いえ―…ちょっと、遅くまでテレビを見ていたら寝不足で―…」


テレビなんてそんなに見ないのに、わざわざそんな説明まで入れてしまう。


「海音ちゃん見かけたらフラフラ歩いてるからさ、大丈夫かなと思って声をかけてみたんだけど」


「すみません……っ、全然大丈夫ですっ」


本当は全然大丈夫じゃないのに、無理に笑顔を作ってしまう。

< 327 / 421 >

この作品をシェア

pagetop