初めての恋に溺れる人魚~my first love~
考えれば考える程、グルグルと不安の渦に飲み込まれていく気がしてしまう。
小谷さん達の嫌味も担任の声も―…ボーっと聞き流してしまう。
そして、
「海音ちゃん」
私を呼び止める声にハッとする。
ホームルームを終えた私は、今日の一時間目の英語をLL教室で行うという事で移動途中だったんだ。
そんな風に思ってしまった程、上の空状態なんだって感じる。
「どうしたの?何か考え事?」
振り返ると小栗先輩が立っていた。そう言えば、同じ時間帯に芹沢先輩にも呼び止められたんだっけ……
「いえ―…ちょっと、遅くまでテレビを見ていたら寝不足で―…」
テレビなんてそんなに見ないのに、わざわざそんな説明まで入れてしまう。
「海音ちゃん見かけたらフラフラ歩いてるからさ、大丈夫かなと思って声をかけてみたんだけど」
「すみません……っ、全然大丈夫ですっ」
本当は全然大丈夫じゃないのに、無理に笑顔を作ってしまう。