初めての恋に溺れる人魚～my first love～

連絡先を知っているんだから、月島先輩の番号の画面で通話を押せばいいだけなのに―…


「出来ない……」


そんな勇気がない。

自分から思い切って電話をかけて、もし出てくれなかったら―…

そう思うと尚更勝手に傷ついてしまいそうでこわいんだ。

情けない、私―…




学校に居る間は基本、鞄の底に携帯を入れっぱなしにしているのに、今日は制服のポケットに忍ばせては何度も画面を確認してる。

月島先輩から連絡があるかもしれない。

そう思っては何度も何度も携帯を気にしてる。

なのに、私の携帯電話は何時もと変わらず静か。

結局、月島先輩からの連絡はないまま。

そんな状態のまま、あっという間に放課後になって、終礼が終わってからも直ぐには帰らずに教室に残ってみたりしたけど、


「来ない……」


独りになった教室で呟く。

誰も迎えに来てくれなかった。