初めての恋に溺れる人魚~my first love~

「帰ろう……」


そんな独り言を言って、教室を出て行く。

もしかしたら、なんてほんの僅かな期待に賭けた自分がバカみたい。

それにしても、


「どうして―…?」


どうして、月島先輩は今日学校に来なかったんだろう。

元々サボりがちだったって聞いても、気になってしまう。

まだ今日は一言も会話が出来ないままだし、一言でいいから、月島先輩と話したい。

学校を出て、とぼとぼと歩いて帰る私。

すると、ぐいっ、と、いきなり力強く腕をつかまれてしまう。


もしかして―…

月島先輩?


期待を込めて、私の腕を掴んだ人物の顔を確かめてみたけど、


「……っ」


一気に表情がこわばってしまう。




< 331 / 421 >

この作品をシェア

pagetop