初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「わ―…たし、急ぐんで……っ」
瞳を逸らして通り過ぎようとした。だけど、
「ちょーっと、まった」
と、今度は手首を掴まれてしまう。
「キミはさぁ、月島の彼女なんだよね?」
「……」
私はその問いに沈黙のままでいる。
「まぁ、アイツが女を連れてるってことは、そういうことなんだろうとは思うけど」
「―…」
「そんなに怖い顔しないでよ」
黙ったままの私を見て、クスクスと笑う。
「ここしばらくね、月島の女の噂を聞かなかったからさ。最近どうなってんのかな~とは思ってたんだ~」
「……」
まだ、私の手首を掴んだまま離そうとしてくれない。
どうやってこの人を振り切ろう……そんな事を考えていると、
「これで三年前のことはチャラにしてくれるかなぁ?」
「え……?」
「ね?キミはどう思う?」
とても意味深な言い回しで、私を見た。