初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「仕方がないから俺ね、その時のカノジョを使って挑発しちゃったってわけ。そしたら月島のヤツ、手がつけられないほど暴れちゃって―…」
ふぅーっと溜息が宝条さんから零れる。
空を見上げて、遠い日の事を思い出すような瞳をしてる。
私はただ、彼の口から語られる月島先輩との因縁を耳に入れ続けるしかない。
〝チーム”〝潰される”〝暴れる”―…それは、私の全く知らない世界の話。そして、
「でね、」
と、まだ続く宝条さんの話。
「その時の騒動が原因でさ、月島は表舞台でピアノを弾けなくなっちゃったってハナシ。勿体ないよね~?響クンなかなかの腕前だったそうじゃない?」
勿体ない、なんて、とても思ってる様には見えない。台詞だって思ってしまう。