初めての恋に溺れる人魚~my first love~

「あの―…っ」


先に声をかけたのはアヤさん。


「先日、響と一緒にいた彼女さんですよね……?」


「は、はい……」


「すみません突然―…私、有岡綾と言います。少し、お話がしたいんですけど……いいですか?」


と柔らかな声で、だけど何処か思いつめたような瞳で、綾さんは私を見る。


「は、い……」


私は頷き、綾さんと近くの公園まで歩いた。


「「……」」


お互いにしばらく無言のまま、ベンチに座る。


「あの―…」


先に沈黙を破ったのは、やっぱり綾さん。


「あの、いきなり呼び止めてこんな事を聞くなんて、本当に申し訳ないんですけど―…響とは……もう長いお付き合いなんですか……?」


「私と月島先輩は―…まだ、そんなには……」


そんなには、というより、まだほんの数日の関係。

でも、ほんの数日なんて言いたくなかった。


< 354 / 421 >

この作品をシェア

pagetop