初めての恋に溺れる人魚~my first love~

「あの―…っ、綾さんは無事だったんですか!?」


「ああ。綾なら大丈夫だ」


「でも、あの宝条さんに連れて行かれたんじゃ―…」


だって、宝条さんは三年前に月島先輩のピアニストとしての道をダメにしてしまった人で……

実際に会って話してみても、怖いと思ってしまう雰囲気を持っていた。

でも、そんな私の不安をよそに、


「まぁアイツのお望み通り、ちょっと相手はしてやった」


そんな言葉を月島先輩は、さらっと言う。

私はもう一度、拳を見てみる。とても、さっきケンカしていたようには見えない、綺麗な手―…

そう、まじまじと私が月島先輩の手を見ていると、


「ケンカであまり手を使わないようにしてたら、足癖がわるくなったってこと」


と、月島先輩が右足を軽くあげた。

視線をおとすと、確かに制服が汚れてる。






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