初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「だ、だって、私、月島先輩に出逢った日露天商のおばさんに人魚の粒を買わされて―…七粒全部願いをかけてしまって……そ、それにっ、さっきもあの露天商の―…」
おばさんが、そこに。
そう思ったけど、砂埃が取れて目を開けると誰もいなかった。
私は何を見ていたんだろう―…
本当に、さっきこの場所で露天商のおばさんを見たの?
もしかしたら、思い詰めていた私が見た幻なんじゃないか、って、今考えてみると夢だとかそういう類だったんじゃないか、って思う。
あの真珠の力を信じたかったから……?
と、そこまで考えると、更に不思議に思う事。
「あれ―…?」
「どうしたんだよ」
「月島先輩、私の事……分かるんですよね?」
「だから、そうだって言ってるだろ」
「覚えて……ますか?この海で出逢った事も、それからの事も―…」
「逆に何で忘れるんだよ。好きな女の事を」