初めての恋に溺れる人魚~my first love~
再会
「では委員長、号令」
先生の言葉で、「起立」「礼」「さようなら」と終礼が終わる。
周りはざわざわと雑談をしながら、教室を出て行く。
部活に行ったり、友達と帰ったり、付き合っているヒトが居るヒトはそのヒトの所に―…
私は……
どうしようかな。
私の席には誰も近寄って来ない。
一人でこのまま帰っても暇だし、夕食の買い物は一昨日まとめてしたばかりだし……
浮かぶのは、あの場所に行ってみようかな、なんて考え。
もしかしたら、あの場所でなら、またあの人に出会えるかもしれないって思った。
別に話をしたい、とか、もっと親しくなりたい、とか、そういう気持ちはない。
ただ単純に遠くからでも、私の一方的でいいから彼に会いたい、って思う。
一目見たら、それ以上は私の知らない世界だし、私なんかが望んだらいけない世界……
鞄を手にとってボーッと、そんな考え事をしていると、
「海音!」
と、私の名前を呼ぶ声がした。
パッと顔を上げると、唯一の友達、いーちゃんが何時の間にか私のクラスに。