初めての恋に溺れる人魚~my first love~

「どーすんの?これ」


「あ、あの……っ」


「おい、何とか言えよ。ブス!」


「……っ!」


〝ブス!”


凄い声で怒鳴られて、びくっと肩が震える。

もうダメ。

怖くて何も言葉が出ない私に変わって、


「あの……このコもわざとじゃないんで……」


と、横に居たいーちゃんも精一杯の勇気を振り絞ったような声で私を庇おうとしてくれているんだけど、


「はぁ?お前に言ってないし、そっちのメガネブスに言ってるんだよ!」


どうしよう……いーちゃんまで怒鳴られてしまう。


「す…すみま……」


「あぁ?」


「あの……っ」


「聞こえねぇんだよ、ブス!」


三年男子の荒げる声に、下校中の生徒達が「何?」「何?」と遠巻きにこっちを見ている。

でも、誰も助けてくれない……

どうしよう……

もう、やだ。

いーちゃんにも迷惑かけてるし。

私って、どうしてこんなにトロイんだろう。

もう、泣きそう……

じわっと、私の瞳に涙が溢れてきた時だった、


「うるせーんだけど……」


ボソッと低い男の人の声がした。



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