初めての恋に溺れる人魚~my first love~
でも背後から言葉を放つ〝誰か”は、スッと前に進んできて、立ち去ろうとする三年男子の肩をぐっと掴む。
「お前こそ、鏡でカオ見たほうがいいんじゃねぇの……?」
男子生徒の耳元で呟くように言った。
言われた三年男子は、
「そ…そうっスよね~ホント、スミマセン~」
声も身体も震わせて、「スミマセン~…」と何度も平謝りして、逃げるように行ってしまう。
な……何?
一体、何が起こったの?
さっきまであんなに怒鳴っていたヒトが一気に怖気づくなんて、こわすぎる……!!!
だけど―…助けてもらったんだよね?
私達―…
「あ……ありがとうございました……っ!」
助けてくれた恩人の背中に勢いよくお礼を言う。
ゆっくり顔を上げると、その恩人が振り向いた。
「う―…」
〝嘘……”
信じられない、という気持ちでいっぱいになってしまう。