初めての恋に溺れる人魚~my first love~
ピピッ、ピピッと何かが鳴ってる。
「あ、私の携帯だ…」
いーちゃんの携帯が鳴っていたみたい。
「ちょっと、ごめんね」
私に断って携帯に出る、いーちゃん。
「もしもしー?うん。今?まだ家には着かないけど―…」
話し方からして、家族の人からの連絡みたい。
何か頼み事をされたのか、
「えーっ、もぉしょーがないなァ……うんうん、それでいいの?」
と、不満そうな声を出しながらも、何かを確認している。
そして、通話を切ると、
「あ~もうサイアクッ!お母さんから、夕ご飯の材料の買い忘れがあったとかで、おつかい頼まれちゃったよ~」
携帯電話を片手にブーブーと文句を言う、いーちゃん。
「夕ご飯に間に合うように帰って来てっていうから、もう行かないといけない~…」
せっかく海音と珍しい話題で語ってるのに!と口を尖らせてる。
「いいって~ちょっとでも話せたし。また放課後とか、どこかで話そう」
「うん、私から誘ったのに本当にごめんね~」
いーちゃんは申し訳なさそうな表情で〝ごめんね”と何度も謝ってくれた。
こうやって構ってくれるだけで、全然嬉しいのに。