わたしをみつけて
「ありがとう」
「え?わっ」
由利が抱きついてきた。
持ったままだったカバンが背中にあたる。
「ゆ、由利?」
「…」
由利は何も言わず、ただ私を抱き締める腕に力を入れた。
「由利、ちょっと苦しい…」
「あ、ごめんごめん」
そう言いながらも離れようとはしない。
散歩中の老人や買い物帰りの主婦が興味深そうにこちらをチラチラみていた。
どれくらいそうしていただろう。
やっと離れた由利の顔はずっと悩んでいた事が解決したような、安心した顔だった。
「ありがとういすみ。私のこと、そんな風に思っててくれたんだね。すっごく嬉しい!
でもね、一つだけ訂正させてね」
笑顔が消えて急に真剣な顔になる。
その真剣な顔にまた怯みそうになった。
「私はいすみの友達じゃないよ」
「え…」
「いすみは私の…」