わたしをみつけて
「ちょっと。泣きながらニヤけないでよ。気持ち悪いって!」
「えへへ。うん、ごめん。あ、ハンカチありがとう、洗って返すね」
「当たり前。いすみさっき鼻水ふいてたでしょ」
「ばれてた?」
持っていたハンカチを背中に隠しながら舌をペロッと出した。
「何それ私の真似ー?いすみには似合わない!全然可愛くないよ」
「あっひどい!」
頬を膨らませて拗ねたふりをしてみる。
するとプッと小さく噴き出す音が聞こえた。
「あははは。その顔面白い!すっごく似合ってるよ」
「ねぇ絶対バカにしてるでしょ!」
頬をさらに膨らませる。
今度はふりじゃない。半分は本気だ。
笑い声が大きくなった。
おかしくてたまらないといった様子でお腹を抱えて笑っている。
「あー面白かった」
散々笑った後、由利はまだお腹を押さえていた。
「もう、笑いすぎだよ。失礼だな」
「だってすっごく面白かったんだから!
あー思い出しただけでも笑える、あはは」
「もういいよ!」
思い出し笑いをする由利を横目で睨み付けてさっさと歩いて行った。
「ごめん悪かったって!」
後ろからパタパタと追いかけてくる足音がする。