わたしをみつけて


「ほんとに?」

「うん」

「じゃあ許してあげる」

「やった、いすみ大好き!」


まったく調子がいいんだから。

昼間とは大違いの笑顔ではしゃぐ由利をみていると、私も笑顔になった。


「あ、そうだ。
いすみに見せたいものがあるんだ」


見せたいもの?何だろう

由利はカバンをガサガサとあさっていて何かを探している様だ。
しばらくそうしていたけど中々見つからないのか、表情がだんだん曇ってきた。

「あれ〜?
携帯が無い。もしかして学校に忘れてきたのかな」

「え?」

「うー最悪。私とりに行ってくる」

「私もついて行こうか?

「うーん…。でもいすみ今日は塾の日でしょ?
今から学校戻ったら間に合わないんじゃないの?」


確かに今日は塾の日だ。
通っている塾は家から少し距離があるから、今の時間からだと由利の言う通り、寄り道をしていたら間に合わない。


「携帯とりに戻るだけだから大丈夫だよ。今ならまだ先生もいるだろうから」

「そう?じゃあごめんね、私は帰るよ」

「うん、じゃあまた明日ねー」

「うん、また明日」


いつものように手を振りあって別れた。
″また明日”
そう約束して。



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