わたしをみつけて
「あの、先生」
『え?あ、ごめんなさい。ありがとうね』
電話を切ろうとする先生に慌てて声をかける。
「待ってください!
由利に何かあったんですか!?」
『いいえ。何でもないわ』
「嘘ですよね!?
何でもないわけないじゃないですか!」
こんな電話までかけてきて何でもないわけがない。
そんなこと小学生でも分かる。
沈黙が続いた。その沈黙にイライラする。
「先生!」
『まだ分からないわ』
返ってきたのは小さな呟きだった。
「分からない…?」
『ええ。ただ…』
その先を言うべきか言わないべきか。
やがて口を開いた先生の言葉に私は眩暈を起こした。
『仁科さんはまだ家に帰っていないわ。
携帯をとりに学校にも来ていない。どこに行ったのか分からないの』