わたしをみつけて
電話が切られた後、私は放心状態だった。
頭が混乱していて何も考えられない。
行方が分からない。
その言葉だけが何度も何度も頭の中で繰り返される。
「あら?何の音?
…いすみ!?」
お風呂から上がってきたお母さんが受話器が下がったままの電話の前で座り込んでいたを見て、慌てたように駆け寄ってきた。
受話器が上がったままの電話機からピーピーという音が鳴っていたらしい。
「どうしたのいすみ、何かあったの!?」
必死な問いかけにも答える事が出来ず、ただただ首を振った。
「どう?少しは落ち着いた?」
数分後、私はソファーに座っていた。
水の入ったグラスを差し出しながら母が隣に座る。
氷の入ったグラスがカランと涼しげな音をたてた。
「…うん」
小さく頷き、水を一口飲む。
冷たい水が体の中を通っていき、少しすっきりした。