わたしをみつけて
「ただいまー」
久しぶりに一人で歩いた帰り道はいつもより長く感じられた。
由利がいないだけでこんなにも違うなんて。
リビングに入ると紙が置いてあった。
[今日は遅くなります。夕飯は冷蔵庫に入れてあるのでチンして食べてね]
手紙は母からだ。
冷蔵庫を開けてみる。
卵や魚やソーセージがのったお皿があった。
たまに仕事で帰りが遅くなる時はいつもこうして夕飯と手紙を用意してくれている。
毎回ありがとう。
心の中で呟いて冷蔵庫を閉めた。
一人きりの家は静かだった。
最近は母の帰りが遅くなることが無く、一人でいることが無かったからなんだか寂しく感じる。
今のうちに宿題やっちゃおう。
カバンから筆箱と教科書を出したところで肝心の物が無いことに気が付いた。
「あれ?宿題プリントが無い…」
うっかりして学校に忘れてきてしまったのだろうか。
時計をみると針は六時十分くらいを指していた。
今ならまだ先生もいるよね。
今からまた学校に行くのはめんどくさいが宿題プリントが無いのだから仕方がない。
やっていかずに明日皆の前で怒られるのはごめんだ。
[宿題を忘れたのでとりに行ってきます]
そんなに遅くはならないが、一応、母が早く帰ってきた時のために手紙を置いて家を出た。