わたしをみつけて
学校に着いたのは六時三十分を少し回った頃だった。
部活が終わり、友達とおしゃべりしながら帰る生徒と何人かすれ違う。
他の教室の電気は消えていたが、職員室はまだ電気がついていた。
「終わったら鍵かけて返しに来てね」
「はい、ありがとうございます」
鍵を借りて教室へ向かう。
まだ暗くないが、誰もいない学校というものは独特の雰囲気に包まれていて、少し怖い。
早く帰ろう。
歩くスピードを上げ、教室がある三階の階段を上った時だった。
「え…」
廊下の奥、教室へと行く曲がり角を曲がる後ろ姿が見えた。
一瞬のことだったが見間違えではないはずだ。
それはもう、見慣れた後ろ姿。
「由利…?」
数日前、突然姿を消した親友。
由利のものだった。