わたしをみつけて
頭が混乱して何も考えられない。
この子は誰?
何をしているの?
いや、それよりも…。
その人形は何?
「そ、それ…」
なんとか声を絞り出したものの言葉が続かない。
次の瞬間。
「…」
女の子が笑った。
だけど笑った、等と可愛いものではない。
まるで殺人鬼が次の計画を思い付いたかのような。
口角がニッと上がり、可愛い顔が不気味に歪む。
その顔のまま一歩、また一歩とこちらに近付いてくる。
背筋が凍った。
本当は今すぐここから走って逃げ出したいのだが体が思ったように動いてくれず一歩一歩、後ずさるので精一杯だった。
そうしている間にも女の子はこちらへ近付いてくる。
私はとうとう壁の方へと追い込まれてしまった。
もう後ずさりは出来ない。
女の子はもう人一人分くらいのところまで来ていた。
そこでピタリと止まる。
そして持っている人形を私の顔の前まで突きつけて言った。
その声はまるで鈴の様に高く、ガラスの様に透き通った声だった。
「ねぇ、わたしをみつけて」